鏡に映るのは自分
銀色の髪が緋色になり、赤い瞳が不気味なぐらいに明るい青
…これが何を意味するのか、わからない
だけど
見た瞬間
時がもうない事を思い知る



いつからだったろう
流れる私の血が炎になったのは
驚いてあたふたしてたら操れることに気付いたのは
炎に変えないようにするのもいろいろ試行錯誤してたんだったけ
いつからだったろう
ある時から私に聞こえるアノ声は
全てを失って呆然としているアタシの耳に届くアノ声
「31歳になる日、あなたは……」



最初は、気にもとめてなかった
全てが全部が何もかもがどうでもよかった
だから、気がつかなかった
ふらふらと彷徨い気付くと握り締めていた花束
赤い大きな花
余裕が出来た時に数えてみた、一本、二本…
毎回数えて、色々な数字と照らし合わせてみる
赤い大きな花は私が31になるまでの月と…同じだった



何故だかわからない
31歳になったら、何が起きるのだろう
ミテミタイ
興味本位
どうせもうなにもないのなら
それまで生きてみるのもありだろう
ドコにも行く当てもないから
ふらふらと、旅に出てみよう
逝ってしまった仲間達よ
どうかその時まで待っていて



ふわふわひらひら
さらさらゆらゆら
のんびりと一人旅
よく思い出してみると
私の周りにはたくさんの人がいた
一人になる事なんてなさすぎて
こんなに寂しい時が世の中にはあるのだと
ゆるい笑みを零す



いつの日か、毎晩のように死の夢を見る
ある日は自分の炎に包まれて灰になる夢
自分の炎だから熱くも痛くもない。暖かいの
ある日は気持ちのいい美しい丘で
昼ねするように…死ぬ
これは望みかもしれない
でも、そんな夢もいいよね
ある日はなにかの苦痛の末、自ら命を絶つ
なにかってなんだろう…?
夢の最後にはあの言葉
「31歳になる日、あなたは……」
そうか、31になる時には私は死ぬのか
それなら焦らなくてもいいね
みんな、31歳になったら必ずそっちにいくからね
待っててください



赤い赤い血
私の血は炎になる
やりすぎるとたまに目が眩む
更にやりすぎると自分の身もたまに焦がす
キケンだね
でも私の身体なんて知った事じゃない




29になりめぐりあったイブラシル
もしかしたらここが最後の地かもしれない
きっとあと2年の命
のんびりのんびり旅をして
ココが最後の旅の思い出というのもいいのかもしれない
31になる前に、ここでのたびが終わるなら
また別の地で静かに生きて終わりを迎えよう
そんな思いを持って
絡まれてるのを助けた娘(?)とその仲間の2人の誘いに乗る
だけど
あの顔であの貧相さ男だなんて反則だ
私は助けた男にたくさん食わせる事を決意した





少しずつ、生きたくなってきた
死の時を知ってから時がたち
旅の友というのを知り
また、友を失い
再び旅の友を得、家で友とバカ話
楽しい日々
失いたくない
……それを壊し去りたくない
皆も楽しいと想ってくれてるのならば
それを失わせたくない
怖い

本当に31になる時に死ぬのだろうか
確かめるため、書物を漁る



祈りは届かず
望みは絶たれる
仲間を守りきれなかった自分を責める
だからせめて自分の炎が誰かを傷つけないように
止めてくれそうな存在を
魔方陣に望む
いっしょにサダメと、戦と、戦ってもらえませんか?
仲間を傷つけないために、私を止めてくれませんか?



…家族が出来た
自分でもフシギなノリで父が出来た
そしてその父の孫が
私に母になってほしいという
私でいいの?
私……あと少しもしないうちに死んじゃうよ・・・?
・・・そんなこと、聞けるはずもなく
笑って受け止める
ごめんなさい。
近くにいる存在がいなくなると悲しいとわかってるの
わかってて引き受けたの
突き放せばいいのに
全てを話して断ればいいのに
沈黙を守って受け止める
悲しませるとわかってるのに、それを実行するの
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい



夢を見る
私は赤い炎の猛獣
理性なんてとうに外れてる
ただ暴れ狂え
燃えゆくは、かつての仲間達
あぁ、そうかそういうこと
仲間を失ったのは事故ではなく、私の暴走
そして私のたどる道の終着点はそこなのか
それならそれでいい
月を刻む花はいつしか日を刻む花になり
ゼロになった時…私はまた獣になるのだろう?
もう同じことは繰り返さない
確証はない、でも確証できてしまったらそれはオワリも同然


我が名はサリル=エルディア
滅ぼしの近衛長
殺めたのが私ならば、せめて仲間の最後を預ける者であれ
消え行く事がない語り手に全てを託す